長らくのご無沙汰でした。
2017年最初の写真は、またまた東京拘置所です。少しアングルが違うのだと言い訳しつつ。これは昨年の12月に写したのだとさらなる言い訳です。
この東京拘置所に真島事件の死刑囚となってしまった松原智浩さんと伊藤和史さんが暮らしています。未決の時から数え、松原さんは6年目、伊藤さんは5年目となります。
とは言え、松原さんも伊藤さんも自らが暮らすこの建物を眺めることはありません。かつて、裁判所へ向かう車中で見たかもしれませんが、裁判は終結しました。また、2人は、この建物の中から、外を見ることもできません。建物には1階を除いて窓がないので、被収容者は外を見ることができないのです。
面会者は、1階で持ち物や身体の検査を受け、長い長いコンクリートの廊下を進み、エレベーターで上層階に上がり、面会室に入ります。廊下のは入り口、少しは外が見えますが、そのあとは出てくるまで全く見えません。「検問」を入ってから出るまで、30分そこそこなのに、私は閉塞感に息苦しくなり、受付エリアに出ると必ず深呼吸します。この閉塞感が続く生活を想像することもできません。
写真を撮った12月8日、松原智浩さんに面会しました。いつも穏やかな笑顔で、こちらが癒されて帰って来る面会になるのですが、今回は少しやつれたように感じました。2011年3月に面会するようになってはじめて持った印象です。年月は容赦なく過ぎている。この閉鎖空間の中で、毎朝執行と向き合いながら。
松原さんについては、昨年5月31日、宮田桂子弁護士が長野地裁に再審請求書を提出しました。松原さんはずっと再審請求の意思を示さずにいましたが、伊藤さんの死刑が確定し、執行の危機が現実として迫る中で、宮田弁護士や大槻弁護士が押し切る形で再審請求の運びとなったものです。支援一同、胸をなでおろしたのもつかの間、12月5日には、その再審請求が棄却されました。わずか半年。異例の早さだそうです。9日には東京高裁に即時抗告し、今に至っています。
一方、昨5月25日に死刑が確定した伊藤和史さんの様子や表情をうかがうことはできません。伊藤さんとの面会や文通は、今村義幸弁護士以外、死刑をとめよう!長野の会の誰も許可されていません。伊藤さんは、ご家族と今村弁護士、安田好弘弁護士、それと、僧侶の方1名との交通のみが許可されています。今村弁護士によると、伊藤さんは思うように外部交通が見込めないこともあり、やや不安定になり元気を失っているとのことです。昨年の情報ではありますが。
差し入れも交通の許可を得ている松原さんにはお菓子や果物も入れられますが、伊藤さんにはお金か切手しか認められません。それらを差し入れると、「◯月◯日 △△円(切手△△円分)を受け取りました。ありがとうございます。」という自筆の「手紙」が届きます。署名も入れてたった3行の便り。でも、安堵します。
つまり、外部交通の許可がなくても、誰からでも現金と切手は差し入れできるということです。それと何も書いていない絵はがきも入るはずです。伊藤さんには、絵はがきやカードを送っていますが、「受理できない」という通知が来ないところを見ると本人に渡っていると思われます。
これは、松原さん、伊藤さんだけでなく、すべての死刑囚について同様です。本人には、いくばくかの励ましになるだろうし、拘置所や法務省に対しては「支援が付いているぞ」「見張っているぞ」のアピールになり、これもいくばくか執行の抑制になるかもしれません。
お金や切手や絵はがきを、獄中に送ってみてください。次回、「送り方」を書きます。多く、先輩の皆さんからの受け売りですが。
本年もよろしくお願いします。(酔)